【魔女の旅々】不幸な人に幸福を語ると最悪の結果になることもある?【アニメ第3話】
深夜アニメを見ていたらテーマがとっても深かった
先日、深夜に「魔女の旅々」というアニメがやっていたので観てみました。
軽い気持ちで観ていたのですが、シリアスな回だったようで、結構面白かったです。
簡単にアニメの概要を説明すると、
魔女が旅をするアニメです!
えぇ、タイトルそのままです。魔女が旅をするのです。
タイトルがなんで「旅々」なんだろうと思って調べたら、
タイトルの「旅々(たびたび)」という単語は、当初にタイトルとする予定だった「魔女の旅」では安直すぎ、他のものと被る恐れがあると考えた作者による造語である。
とのことでした。
最近は、「○○が転生したら××だった」や「△△な僕が□□したら…」というもはや文章のようなタイトルが多い中、シンプルでわかりやすいと思います。
主人公はこのかわいい魔女、イレイナさん。
引用:TVアニメ『魔女の旅々』公式サイト
うん、かわいい。
このイレイナさんが旅をしていろんな人と出会い、様々な体験をするお話になります。
で、アニメ第3話の「瓶詰めの幸せ」を観たのですが、これがなかなかヘビーでした。
結構考えさせられるものだったので、今回はこの内容ついて考えていきます。
使用人に恋した少年の願い
以降、アニメのネタバレを含みますので、見たくない人はここよりお戻りください。
まずは簡単に内容を。
- 自分の使用人(奴隷)に恋した少年(領主の息子)のお話。
- 幸せを瓶に集めていて、その使用人にプレゼントしたい。
- 通りかかった魔女イレイナは、興味を持ちランチを共にすることに。
- その使用人は、どこか暗く自分に自信が無い(おどおどしている)女の子。
- ランチでは、使用人が瓶を割ってしまい、領主にこっぴどく怒られる。
(典型的な主人と奴隷の関係) - 落ち込んでいる使用人に、少年は瓶のフタを開けて世の中の幸せを見せて語るが…。
こんな感じです。
少年と使用人の物語はここまでです。
しかし、二人と別れたイレイナさんが、次の回想をします。
「そういえば、昔読んだ本で、動けなくなった奥さんに旦那さんが外の世界を魔法で見せてあげたけど、その後、奥さんは…(おもむろに画面がナイフにフォーカスして終了)」
ちょっと記憶が曖昧で、細かいところ間違えてたらすみません…。
その後、使用人がどうなったのかはわかりませんが、仮に、絶望してしまったと仮定して考えていきます。
絶望してしまった要因について考える
まずは使用人と少年の境遇を整理します。
使用人の境遇は「まさに希望がない」
この使用人ですが、領主の奥さんが出ていってしまい家事が滞っていた時に、たまたま訪れた街で見つけて買われ、この領主家に仕えることになりました。
と言うことは、この家に来る前から普通に過ごしてはおらず「売られていた人間」ということですね。
そして、領主は使用人をモノ扱いしており「使えるよ。あれは。」とか言ってました。
奥さんが出ていった理由は不明ですが、お察しですね。
当然、使用人は褒められることはなく、失敗しないようビクビクしながら家事をこなす日々。
使用人はこの状況を受け入れており、「諦める」というよりは「思考停止」しているような状態。
こちらがその使用人。
引用:TVアニメ『魔女の旅々』公式サイト
「私は一生この世界で生きていくんだ」と言わんばかりに常に暗い顔をしています。
うーん…かなり傷が深いですねぇ。
少年はいつも明るく前向き
一方、領主の息子である少年ですが、いつも明るく前向きです。
最初に少年がイレイナさんに出会った時も、「好きな人のために幸せを集めてるんだ!」と明るく語っていました。
使用人とは正反対ですね。
そして、そんな少年は使用人に世界の幸せを見せて「僕が君を幸せにするよ」と語りました。
引用:TVアニメ『魔女の旅々』公式サイト
なぜ絶望したのか?2つの要因
一見、いいお話に見えますが、結果は最悪へ…。(妄想ですが)
何がダメだったのか?を考えていきます。
私が思うに、以下の2つの要因が大きかったのかなと思います。
- そもそも使用人は幸せを望んでいなかった
- 幸せを見せられても実現性を感じられなかった
他にもあるかもしれませんが、ここでは上記要因で考えます。
1.そもそも使用人は幸せを望んでいなかった
使用人は、「幸せを諦めていた」または「そもそも幸せを知らなかった」のではないかと思います。
そのため、幸せを見せられても、それを希望と感じることはできなかった。
むしろ、今の自分と比べ絶望を感じてしまった…。
あり得るのではないでしょうか。
2.幸せを見せられても実現性を感じられなかった
今回、少年が起こした行動は、「幸せを見せる」と「君を幸せにすると語る」の2つでした。
果たして、これだけで、「私を幸せにしてくれる!」と感じますでしょうか??
幸せを見せられても、それが実現するイメージが湧かなかったために、むしろ絶望に感じてしまったのではないでしょうか。
物語の中で領主が使用人を叱った時、息子である少年がかばおうとはしましたが、叱責され、引き下がりました。
この時点で力関係は、領主⇒少年⇒使用人となっていました。
この少年がいくらがんばっても、領主には敵わず、現状を変えてくれるとは思えません。
そんな人が、明るく幸せを語っても、自分と違う世界の人が理想論を語っているだけにしか聞こえないのではないでしょうか。
少年はどうしたらよかったのか
もちろん、少年に悪意はありません。
むしろ使用人のためを想って取った行動です。
しかし、結果は悲しい結末に…。
じゃあ少年はどうしたらよかったのか?
まずは相手を理解する
まずは使用人の境遇や気持ちを理解することが必要だったと思います。
確かに少年に悪意はありませんが、よく考えると、一方的な気持ちで行動しています。
「相手のために」と思っていながら、「これを相手にしたい」という自分だけの思いで行動しているのです。
そのため、自己中心的な考えになってしまっています。
これは、日常でもよくある話だと思います。
相手に何かをする際は、以下を意識する必要があります。
- まずは相手の価値感を知る。(何に喜び、何に悲しむか)
- 例え自分が望まないことでも、相手の望むことを中心にプランを組み立てる。
- 相手の立場や状況を見て、タイミングを計り行動する。
大切なのは、相手を中心に置くことです。
自分が望まない、正解じゃないと思ったとしても、まずは相手を尊重します。
自分中心になると、価値観の押し付けになりますからね。
まさに物語の少年も、「幸せ=魅力的で希望となる」という価値感を使用人に押し付けたのではないでしょうか。
ただし、相手が気づいていない価値というものもあります。
そのため、必ずしも相手の望み通りに…というわけではありませんが、そのような場合でも、まずはその価値を相手が理解するところから始めるべきです。
その希望に対してのロードマップを示す
これまで何年も対等な関係で過ごして信頼(絆)があれば信じられるかもしれませんが、雇人と使用人の関係で、しかも使用人は少年に対して特別な感情はありません。
そのような相手から幸せについて語られてもイメージ出来ませんよね。
そのため、ゴール(幸せ)までのロードマップ(道筋)を示してイメージしやすくします。
「僕が18歳になったら家を継いで、君を使用人ではなく妻に迎え入れる」とか、
「明日、屋敷から二人で逃げ出して、隣町で二人で新たな生活を始めよう」など。
具体的な道筋を示せば、実現性を感じ、信じられるようになるのではないでしょうか。
考察した結果
以上が私の考察です。
結局は、「相手を理解する気持ち」と「相手が信じて希望を持てる具体的なプラン」が足りなかったのかなと思います。
いやぁ、思っていたよりも考察が長くなってしまいました…。(これでも削った方)
でも、それだけ考えさせられる内容だったし、何より現実に起こりやすいなぁと思ったので記事にしました。
これの怖いところは、本人(少年)に悪意が無いことです。
良かれと思ってやったのに、実際は相手を苦しめていた。
しかも苦しめていることに気づかない…。
私、おせっかいなんで、気を付けていかないとなぁ…と考えさせられたアニメでした。